LECTURE 14

アーキテクチャ

リード

ゲームはルドとナレームの関係性によって構成されています。しかしゲーム機やゲームビジネスといった、さまざまな外部要因によって影響を受けています。これらの関係性はどのようにモデル化されるのでしょうか?

ルドとナレームの構成に影響を与える上位概念

アーキテクチャとは、もともと建築学で「構造」を意味する専門用語として使用されてきました。その後、コンピュータサイエンスや電子工学などの分野で「設計思想」の意味で使われるようになります。

例:CPUやPCのアーキテクチャなど

さらに、メディア論や経営学、哲学、法学など、さまざまなフィールドでも活用。
ローレンス・レッシグの「コード」です。
人の活動を無意識のうちに規制する要因に、法律・慣習・市場・アーキテクチャがあります。

東浩紀氏(日本の思想家)
アーキテクチャ=「環境管理型権力」
社会の中には特定の意図のもとに、目に見えない形で環境に埋め込まれ、人の振る舞いを無意識のうちに規制している「構造」が存在すると指摘しました。

例:賃貸マンションなどでのケーブルテレビなどの団体契約す。

DVDメディアなどに加算されている私的録音録画補償金

経営学やメディア論でもアーキテクチャが

経営学では、藤本隆宏氏・青島矢一氏・武石彰氏が
「ビジネス・プロセスの中にある様々な活動要素間の相互依存もしくは関係性のあり方」と定義しました。

例:中国におけるゲーム産業

情報社会論での援用例

濱野智史氏は「ルールや価値観が作られた理由を人に意識させる必要がない」構造や、「人を無意識に操作できる」構造がアーキテクチャだと論じています。

例:ファーストフード店
アルコール分を自動検出し、一定量のアルコール濃度を検出すると、エンジンがかからなくなるデバイス

ゲームはさまざまなアーキテクチャに影響を受けている

ゲームの基本的構造:ルドとナレーム
ゲームのプレイ環境:プラットフォーム(ハードウェア)
ハードウェア:製造・販売する企業のビジネス戦略によって規定される
-技術的、ビジネス的制約の中で存在→ゲームデザイン(ルド・ストラクチャー及びナレーム)への影響も。

「PONG」とビジネス・アーキテクチャ

「コンピュータスペース」:失敗(消費者に理解されない)

「PONG」
「お金を稼ぐことが目的」「酒場の客(ピンボールの代替)」
「仲間と一緒に楽しむ」「ゲームオーバー時にコイン投入で継続」
「片手で遊べるシンプルな操作と内容」という要素を追加
→結果として大成功。

技術の進化とアーキテクチャ

アーケードゲーム開発とは「プレイヤーに楽しくプレイしてもらい、何度もコインを投入してもらう」ための仕掛け作り →「ゲームに上達すればするほど、長時間プレイできる」という構造になっています。

しかし、1コインで長時間プレイされては利益が上がらないため、「いかに魅力的で高難度のチャレンジを提示して、単位時間当たりのコイン投入量(インカム)を増やすか」という方向に、ゲームデザインがシフトしていきました。

例:「魔界村」

タブレット向けゲームの場合は、スクローリング機能、フレームレート、ジェスチャーコントロール、ボタン配置や、タップしたときの「心地良さ」などを検証して開発されています。
例:「クラッシュ・オブ・クラン」

課金については、時間短縮機能のみに限定など、プレイヤーが納得して課金できるシステムが支持されるようになりました。

更に研究を深めるために
Lessig, L (1999) Code and other laws of Cyberspace (ローレンス・レッシグ、 山形浩生柏木亮二(訳)(2011)『CODEインターネットの合法・違法・プライバシー』翔泳社P.298)
東浩紀 (2002 )「情報自由論第3回」『中央公論』2002年9月号、中央公論新社
藤本隆宏・青島矢一氏・武石彰(2001)『ビジネス・アーキテクチャ:製品・組織・プロセスの戦略的設計』有斐閣
濱野 智史(2008)『アーキテクチャの生態系――情報環境はいかに設計されてきたか』NTT出版

藤原得郎(2003)「「魔界村」を作った男」『CONTINUE』vol 11 太田出版, p 124

コンピュータスペース

パブリッシャー:ナッチング・アソシエーツ
ジャンル:シューティング
リリース:1971年
プラットフォーム:アーケード

ノーラン・ブッシュネルによって制作された世界初のアーケードゲーム。ブッシュネルが学生時代に熱中した「スペースウォー!」をモチーフに制作された。なお「スペースウォー!」は2人用だったが、本作は1人用となったため、隕石やUFOにぶつからないように打ち落とすという内容に変わっている。しかし操作方法で「スペースウォー!」を踏襲するなど、アーケードゲーム向きとは言いがたい内容だったことから、大ヒットには至らなかった。


スペースウォー

パブリッシャー:なし
ディベロッパー:スティーブ・ラッセル
ジャンル:シューティング
リリース:1962年
プラットフォーム:PDP-1

今日のテレビゲーム産業に直接影響を与えた、世界初のテレビゲーム。世界初のテレビゲームとされる「テニス・フォー・トゥ」が施設の一般開放日向けに作られた技術デモで、オシロスコープ上で動作したのに対して、本作はコンピュータ(DEC社のミニコン・PDP-1)上で永続的に動作し、シューティングゲームの原型を兼ね備えていた。制作者は当時MITの学生だったスティーブ・ラッセル。SF小説「レンズマン」の宇宙戦闘シーンから着想を得て制作された。

画面上の2台の宇宙船を操り、ミサイルを発射して相手を破壊するのが目的で、当初はPDP-1の前面パネルにあるトグルスイッチで操作していたが、後にコントローラが制作された。ソフトウェアはコピー・改造が自由とされ、全米各地の大学などに設置されたPDP-1に広まり、さまざまなフォロワーが生まれた。またPDP-1のバンドルソフトとしてDEC社の販売にも貢献した。

アステロイド

パブリッシャー&ディベロッパー:アタリ
ジャンル:シューティング
リリース:1979年
プラットフォーム:アーケード

画面上の宇宙船を操作して、周囲に漂う小惑星を破壊していくシューティングゲーム。方向キーとショット、推進剤噴射、ワープの3つのボタンを駆使して宇宙船を操作し、小惑星に衝突しないように破壊していく。小惑星を破壊すると複数の破片に分裂するため、これに衝突しないように、うまく操作しなければならない。また宇宙船の移動には慣性が働いているため、操作には一定の習熟も必要になる。

ゲームの操作方法や目的をはじめ、本作は1961年に発表された「スペースウォー!」の進化形だと言える。ゲームグラフィックスも「スペースウォー!」と同じベクタースキャン方式である。「スペースウォー!」からヒントを得て制作された「コンピュータスペース」が通常のゲームと同じラスタースキャン方式で描画され、その発展系である本作がベクタースキャン方式に戻った点からも、一連の系譜が見て取れる。

「コンピュータスペース」は商業的に不振となったが、本作は全米で大ヒットを記録した。同社にとってリベンジをはたしたといえる。

魔界村

パブリッシャー&ディベロッパー:カプコン
ジャンル:アクション
リリース:1985年
プラットフォーム:アーケード

主人公のアーサーを操って、さらわれたプリンセスを助けるために大魔王ゴンディアスを倒す横スクロールアクションゲーム。続編の「大魔界村」をはじめ、家庭用ゲーム機への移植作品など、さまざまな派生作品が登場している。またシリーズを通して高難易度のゲームとして知られている。

アーサーは通常鎧を装備しているが、敵の攻撃を受けると下着姿となり、この状態で攻撃を受けるとミスとなる。オリジナル版の一周目は幻影で、さらに難易度の上がった二周目をクリアしなければ真のエンディングにたどり着けないという構成が話題を呼んだ。

スウィートホーム

パブリッシャー&ディベロッパー:カプコン
ジャンル:RPG
リリース:1985年
プラットフォーム:ファミコン

同名の映画「スウィートホーム」(東宝・黒沢清監督)が原作のホラーRPG。館に閉じ込められたテレビの取材班5人を操作して、さまざまな罠を回避したり、クリーチャーと戦ったり、館の謎を解くなどして、館からの脱出をめざす。パーティの上限が3名となっており、常に2チーム以上に分かれて進行する点がミソで、戦闘では人数が多い方が有利だが、単独行動が都合良い場面もあるなど、パーティ編成が大きな鍵を握っている。アイテムを1キャラクターが2つまでしか持てないうえに、それぞれに固有のアイテムも存在し、一度死んだ仲間も復活しないなど、緊迫感あふれるゲーム展開が特徴。ゲームの展開によっては先に進めなくなることがあるため、「ギブアップ」というコマンドも用意されている。エンディングは仲間の生存数によって異なるマルチエンディング。「バイオハザード」とスタッフが重複しており、限られたアイテム数や扉が開く演出などが継承されている。

クラッシュオブクラン

パブリッシャー&ディベロッパー:スーパーセル
ジャンル:ソーシャルゲーム
リリース:2012年
プラットフォーム:iOS、Android

フィンランドのスーパーセルが開発したソーシャルゲームで、村を育成して軍隊を組織し、他の村を攻撃していく。ステージ方式のシングルプレイと、世界中のプレイヤーと戦うマルチプレイがあり、クランに加入すれば支援兵を募ったり、チャットでコミュニケーションがとれたりする。戦闘に勝てば自分が属する階級が上がり、常に同じような階級のプレイヤーと戦える仕組み。ただしワールドを統一するなどの要素はない。また敵の攻撃を受けて全滅しても、比較的容易に村を復元させられる。ビジネスモデルはF2Pで、無課金でも楽しめる一方で、課金すればユニットの建造時間が短縮できるなど、効率的に進められる。